春日若宮おん祭参拝《平成26年12月17日~18日》

おん祭り参加者

おん祭り参加者

奈良の春日若宮おん祭は、毎年12月17日を中心にした数日間に催行される國指定重要無形文化財のお祭りで、今年で第879回という歴史を誇る由緒ある祭礼である。中心となる17日は、午前零時に春日大社の若宮に鎮座される神さまを、ご本殿から仮の御殿である御旅所へお迎えし、一日24時間だけ饗応と芸能でお慰めし、24時には御殿にお帰りになる若宮さまをお見送りする、優雅で素晴らしいお祭りである。今回、結の会からは7名が参列した。

12月17日午前零時、明かりを一切消した浄闇のなか、若宮の神さまをご本殿から御旅所へお遷しする「遷幸の儀」が粛々と執り行われた。もちろん写真・ビデオ撮影などは禁止だし、携帯などはもってのほか。春日大社を包む森の闇の中、見えるのは先行する松明のあかりのみ、聞こえるのは楽師が奏でる道楽(みちがく)と神さまを榊で囲って進む大勢の神主たちのオーという警蹕の声だけ。
無事にお旅所に遷られた後は、若宮さまに朝の食事をお供えする「暁祭」、12月17日の正午には興福寺旧境内で現在の奈良県庁前広場から出立する「お渡り式」の行列、一の鳥居そばの影向の松でおこなわれる「松の下式」、そして「御旅所祭」では、社伝神楽、東遊、田楽、細男、猿楽、舞楽、和舞など日本古来の芸能が、若宮さまをお慰めするため次々と奉納される。そのころになると境内はすっぽりと闇に包まれ、わずかな松明のあかりで人々は若宮さまとともに幽玄の世界に遊ぶのだ。そして、17日午後11時過ぎになると、お旅所を発ちになる「還行の儀」の行列がつくられ、人々は18日午前零時までにご本殿へ帰られる若宮さまを、名残を惜しみつつお見送りする。下は参加者のひとり、E.Hさんのレポートである。

春日大社若宮御祭に参加して  E.H
私が春日若宮おん祭を奉拝したのは2回目となります。数年前に、はじめて「遷幸の儀」に参加した時のことは今も強く心に残っています。春日大社の若宮さまの御霊をご本殿から仮の御殿である御旅所へお遷しするのですが、真夜中、松明やお香を持った方々が参道を清め、太鼓や笛の音が春日の山に響く浄闇の中を厳かに御霊が提灯の先導でお通りになった時に、たしかに見えない畏敬の存在を体感しました。神職さん達の「お~」という警蹕もより一層効果をもたらしておりました。
今回参加してみて、この見えない畏敬の存在に対して大勢の人達の参加、手助け、協力の元で成り立っている事に感動いたしました。しかもこの祭りがおよそ1000年近く伝統を保ち続けている事に日本人の素晴らしさを感じいりました。遷幸の儀のあとに若宮さまに朝の食事をお供えする「暁祭」、正午より興福寺周辺から出立する「お渡り式」の長い行列、お旅所への途中、春日大社一の鳥居そばの影向の松でおこなわれる「松の下式」、そして「御旅所祭」では、社伝神楽、東遊、田楽、細男、猿楽、舞楽、和舞など、日本古来の芸能が次々と奉納されています。どれだけの人数の方々が参加しているのでしょう?直接参加されていなくても準備のために携わっている方々もどれだけいたのでしょう?若宮様お一人のために日本人の「おもてなし」の心を感じました。又機会がありましたら是非参加してみたいと思いました。その時はどんなことを感じとるのかも楽しみにしています。

2015年7月5日