気になる樹 キカラスウリ(黄烏瓜)

1月はじめ、温かい日差しのなか、東京都の清瀬市と埼玉県の所沢市の境を、例によって10名ほどで樹を見ながら歩いたときのことである。とある公園でお弁当を広げていると、「キカラスウリがありますよお」と、山野草につよいKさんの声。

Kさんが指さす青い空を見上げると、わあ、すごい! 太い木にからみついて、実がいっぱいさがっている。頭に落ちてきたら、ずいぶん痛そうだ。

「食べられるの?」「まさかあ」「普通のカラスウリよりずいぶん大きいね」etc. etc. キカラスウリの実のことで、話しの花が咲いた。

後で調べてみると、キカラスウリは薬用植物で、熟した果実は食べられそうに書いてあったが、慎重派の私は遠慮気味。でんぷんを多く含むので、飢饉のときなどの緊急食にもよいとのこと。でも皆さんは、よく調べてから食してくださいね。おなかこわしても、シーラナイ。

とはいえ、野原のあちこちによく見られる普通のカラスウリ(写真)もそれなりにかわいい。夏の夜に繊細な糸状のヒゲを伸ばして密やかに咲く花、畑の柵にからみつく色あざやかな実、干してサイフに入れておくとお金が集まるというタネ。こう考えるとどうしたって、カラスウリに一票!っと叫んでみるのが人情ではないか。

気になる樹 ラクウショウ

いつも人でにぎわう新宿御苑も年末になると、さすがにひっそり。ひときわ人影の少ない道を選んで、例の通り上をみたり下をみたり。ドングリは落ちてないか、珍しい木はないか。その時、不思議な光景が私の目に飛び込んできだ。えーっ、ナニコレ!

説明によれば、この木は北米産の落葉針葉樹ラクウショウ(落羽松)、和名はヌマスギ。秋になると葉っぱがひらひらと羽のように落ちてくるから「落羽松」だとか。沼地や湿地に生え、タケノコのような気根を出すのが特徴。地上や水面上に出した気根(呼吸根)で、酸素を取り入れるのだそうだ。説明には納得しても、この光景には圧倒される。何かの映画みたいでしょう。名づけて「ラクウショウとその子たち」

世の中には不思議なものもあるものだ、と思いつつ年を越したが、どうもあの光景が目に焼き付いて離れない。もう一度みたくて、年があけてからラクウショウがあるという石神井公園に行った。

ありましたよ、そっくりさんのメタセコイアと並んで。右がメタセコイアで、手前がラクウショウです。まわりに気根が出てるほう。わかりやすい。ただ、公園の場合は散歩する人や自転車の邪魔になるというので、取り除かれてしまうことも多いそうだ。春に出る葉の付きかたでも違いが判るとも。

そばには「ねりまの名木 ラクウショウ」の看板が。北米からきて石神井でそだち、公園で邪魔にされることもなく大きくなり、ついには「ねりまの名木」にまでなったのだ! がんばったのですねえ、エライエライ。

気になる樹 ユリノキ

DSC_0179「あっ、この木、知ってる、プラタナス」と叫んだ私を、先輩は気の毒そうに、地面から葉を一枚拾って、「葉っぱが全然ちがうでしょう、これはユリノキです」といった。

「形がお祭りなんかで着る半纏に似ているでしょ、だからハンテンボクともいうんです」

とも。なるほど、ハンテンか、今の人にはハッピといったほうがわかりやすいかもしれない。たしかにそんな独特の形をしている。

プラタナスは大学に並木道があり、朝夕にその下を歩いていたので、知っているつもりだったのに、あらためて教えてもらうと、プラタナスとユリノキでは、葉の形はもちろん樹皮もまったく違っていた。

ハンテンに似てますか

ハンテンに似てますか

上野の東京国立博物館の本館前には、巨大なユリノキがある。前は「大きな木だな」と思ったが、今では「大きなユリノキだな」と思うようになった。秋にはオレンジ色にきれいに黄葉する。5~6月には花が咲くそうだ。英語でチューリップツリーというように、黄色と赤色のまじったきれいな花が咲くとのこと。高い木の上に咲くので、気がつく人が少ないそうで、私も見たことがない。来年の花の時期には絶対にみようと、今から楽しみにしている。

気になる樹 トウカエデ

11月ともなると、あちこちで赤や黄色に色づいた木々が目立つ。友人とよく会う駅前にも、みごとな黄葉の木が並んでいた。なんだろうと思って近づいてみると、三つに分かれた小さな葉が地面をおおっていた。樹皮は縦にガサガサ、ボロボロに裂けている。

さあ、何の木なんだろう。樹木初心者にとっては、気になって仕方がない。友人がまだ来ていないのを幸い、広場に沿って並んでいる木々を一本ずつ見ていくと、あった、名札が!

さっそくスマホで検索。「トウカエデ」、漢字では「唐楓」、中国原産の落葉高木。丈夫で紅葉が美しいので、街路樹としては日本で五番目に多く植えられており、黄色くなる個体もある。盆栽としてもよく使われるとある。恐竜の足跡のような足の形の葉は覚えやすく、3本のすじ(葉脈)が目立つ。

やっと来た友人を「見て見て」と木の下まで引っ張ってきて、「この木の名前、知ってる?」と意気揚々ときいたら、「トウカエデでしょ」と言われて、がっかりした。聞いた相手が悪かったのか、知らなかったのは

私だけなのか…。

秋には美しく紅葉

秋には美しく紅葉

樹皮はあらあらしく剥がれる

樹皮はあらあらしく剥がれる

気になる樹 カクレミノ

3つに分かれるツヤツヤとした葉がかわいい

3つに分かれるツヤツヤとした葉がかわいい

えっ、そんな名前の木があるのっ? 驚いて葉の一枚を手に取ると、緑の色が濃く、光沢のあるきれいな葉だった。こういう葉は常緑樹に多いらしい。

葉の周囲にギザギザがなく、恐竜の足のように3つにさけている。常緑樹でこのように3つにさけるのは、カクレミノだけと書かれていた。けっこう大きい葉だ。

葉の裂け方も一定ではなく、3つがいちばん多いようだが、2つに裂けたり、全く裂けないのもある。幼木の葉は深く裂け、成木になると裂けていない丸い葉ばかりになる。私の勝手な意見では、3つに裂けているかたちがもっとも可愛い。

天狗などが身を隠すのに使う「隠れ蓑」に、樹形が似ていることによる命名らしい。確かにこの木の中に入られたら、見つけにくいかもしれない。

以前は気にもしていなかったが、覚えるとあちこちに植えられていて楽しい。一度覚えると忘れない名前だ。

この中ならテングも隠れるかも

この中ならテングも隠れるかも

気になる樹 エンジュ

JR原宿駅から根津美術館に歩いていくと、みゆき通りの街路樹に、花がたわわに咲いていた。%e3%82%a8%e3%83%b3%e3%82%b8%e3%83%a5%e3%81%ae%e6%9c%a8

背が高い樹で、見上げても花はよく見えない。幸いなことに一本の樹の幹に名前が書いてあった。「エンジュ」。そうか、この木はエンジュというのか。

なにしろ、私のような初心者は、樹木の名前について自信がない。このように、だれかがはっ%e3%82%a8%e3%83%b3%e3%82%b8%e3%83%a5%e3%81%ae%e5%b9%b9きり書いてくれれば安心だ。

樹皮は縦に割れ目が入っている。

エンジュ、漢字で「槐」と書く。中国原産の落葉高木。樹高は20メートルにもなることもあるという。

やは%e3%82%a8%e3%83%b3%e3%82%b8%e3%83%a5%e3%81%ae%e8%8a%b1り街路樹として使われるハリエンジュ(ニセアカシア)は、北アメリカ原産の落葉高木。エンジュと似ているが、花が違う。蕾や花には薬効成分が含まれ、止血剤として生薬に利用されてきたそうだ。

気が付くと、エンジュはあちこちで街路樹として植えられている。丈夫で大気汚染にも強いそうだ。公園や街角に植えられたエンジュが、太い幹を堂々と大きく伸ばして葉を茂らせ、霞がかかったような細かい白花をいっぱいに咲かせる姿はなかなかいい。

気になる樹 アラカシ

樹の形 樹木についてはまったくの素人の私だが、これから毎月一回、神社をめぐる社叢学会の社叢見守り隊に、他の人の迷惑顔もかえりみず、同行することにした。一社を歩いたら、必ずひとつは木の種類を覚える「一社一木」をモットーに、さあ、歩こう。

 まず訪れた台東区竜泉に鎮座する千束稲荷神社。ここで私の目を引いた一本の木。葉脈のはっきりしたこの木はなんだろう。先輩に聞いたら、「アラカシ」とのこと。 幹と葉

本によると、常緑広葉樹のアラカシは、直立して中~上部で枝を広げ、こんもりした形になるのだそうだ。

 幹は褐灰色でざらざらするが割れ目はできない、とある。なるほど。葉の表は光沢があり、裏は緑白色。葉の上半分に大きなギザギザ(鋸歯というそうだ)があるとのこと。なるほど、なるほど。アラカシか、覚えたぞ。

アラカシ葉・裏

アラカシ葉・裏

アラカシの葉・表

アラカシの葉・表

 

 

 

 

社殿の脇にはクロマツ。葉は針状で先端はとがり、触ると痛い。2枚ずつ束生する、とある。束生とは、一か所から数枚の葉が束状に出ることだそうだ。
社殿わきのクロマツ クロマツの葉

境内の片隅に可愛く花を咲かせるランタナ。つぼみから開花につれて色を変えるのでついた和名が「シチヘンゲ」。葉をちぎるとイヤな臭いがするそうだ。ご用心ご用心。
ランタナ

今回の「一社一木」はアラカシでした。