南開日本研究2017

本年2月初旬、中国南開大学日本研究院の劉岳兵院長が、当基金を表敬訪問された。

日本研究に専心されている劉岳兵院長は毎年のように訪日されているが、今回は昨年12月に発行された『南開日本研究2017』を携えての訪問。

『南開日本研究2017』の目次には、「日本農業経済研究」「近代中日文化交流史研究」「日本歴史思想研究」…と、日本と中国にかんする研究がずらりと並ぶ。毎年出版されるこのシリーズ(年刊誌)は中国の日本研究者及び日中関係研究者には必携だ。

同時に寄贈された冊子「南開大学日本研究院」に、昨年から劉教授が院長としての職責を負っておられる同研究院の活動内容や現状が、詳しく紹介されているのもうれしい。

シンポジウム「日本古代史史料訳注における諸問題」を開催

 2017 年 11 月 18 日、南開大学日本研究院は、梅田善美日本文化研究基金の後援により、日本古代史史料訳注における諸問題」を開催し、日中両国から多分野にわたる日本研究者が集い、日本古代史史料の訳注問題について意見を交わした。日本研究院には、院長の劉岳兵教授を中心にして、日本古代史の原典を研究する「原典日本研究プロジェクト」が発足、すでに研究が進んでおり、当プロジェクトにより中国における日本古代史研究がさらに発展することが期待されている。
 シンポジウムの詳細は、こちら「日本古代史史料訳注における諸問題」へ。

日本研究者が集い、日本古代史史料の訳注問題を探求

 2017 年 11 月 18 日、南開大学日本研究院主催の「日本古代史史料訳注における諸問題」と題する学術シンポジウムが、当該研究院四階国際会議室にて開催された。

 中国社会科学院徐建新研究員、日本早稲田大学島善高教授、天津師範大学王暁平教授、北京第二外国語大学馬駿教授、清華大学劉暁峰教授、浙江工商大学江静教授、華中師範大学占才成先生、深圳大学高偉先生、天津外国語大学楊立影先生、南開大学外国語学院劉雨珍教授、同孫雪梅準教授、同于君先生、南開大学日本研究院院長劉岳兵教授、同李卓教授、同王玉玲先生など多数の学者が本シンポジウムに出席した。また、南開大学日本研究院、同外国語学院日本語学科の修士・博士課程の学生のほか、日本国学院大学、清華大学、吉林大学など国内外複数の大学からも若い研究者の参加があり、まさに「群賢みな来たり、少長すべて集い」と言える会議である。

続きを読む

劉岳兵教授、日本研究院院長に就任

 かねてより、天津市の南開大学で、「南開大学梅田善美日本文化研究基金」の責任者として堅実な研究活動、学際活動を続けてこられた劉岳兵教授が、このほど、同大学の日本研究院の院長に就任され、着任のご挨拶を送ってこられた。日本研究院のさらなる発展を期待するとともに、栄誉ある院長の重責をおわれることとなった劉教授のご活躍とご健勝をお祈りしたい。

ごあいさつ

南開大学の日本研究は1960年代に端を発し、半世紀の星霜と何世代もの努力を経て、今日のような研究と人材育成を一体とする日本研究院として発展してきました。教育部により教育部国別と区域研究基地と認定されています。また日本国際交流基金より中国における日本研究拠点として重点的な援助を受けている機関でもあります。

本院は学術の発展、人材育成、交流促進、社会奉仕を目的とし、本学の世界史、国際経済、国際政治といった国家レベルの重点学科との協力関係のもと、学際的かつ国内外の共同研究、学術シンポジウム、専門家による集中講義などを数多く催して、日本政治・経済・歴史・文化の研究と教育を広範囲にわたり展開することで、実り豊かな成果を収めるとともに、日本研究に従事する専門的な人材も数多く輩出してきました。

中国国内においてはトップレベルだけではなく、国際的にも著名な総合的日本研究機関およびハイレベルな人材育成の拠点となることを本院の目標としています。また長期的に安定した中日友好関係に貢献することがわれわれの願いでもあります。国内外の関係各位の暖かいご支援ご鞭撻を衷心よりお願い申し上げます。

                                                南開大学日本研究院長 劉岳兵
2017年7月

『日本儒学と思想史研究――王家驊先生記念特集』を出版

img_0001『日本儒学与思想史研究――王家驊先生紀念専輯』

劉岳兵主編、天津人民出版社、2016年9月発行〔中国語〕

本書は「南開大学梅田善美日本文化研究基金」の援助を受けて出版されたもので、2015年7月4日に開かれたシンポジウム「文明の対話と比較:日中儒学を中心として」の諸論稿を基にした。当時、『中日文化の対話と伝統――儒学を中心として』と仮称していたが、南開大学日本思想文化研究の開拓者である王家驊先生を記念するために、その主な研究分野である日本儒学と日本思想史における知的遺産と学術伝統を伝承し、発揚しようという意味をこめて、現書名に変更された。本書の前書き「編集者の話」に、本書出版の経緯が詳しく述べられている。

内容は「追思と継承」(7篇)・「文明対話と文化比較」(5篇)・「日本儒学と思想史研究」(12篇)・「王家驊先生の著作『中日儒学の比較』に対する日本学者の評論」(4篇)・「附録」(「王家驊先生年譜簡編」「王家驊先生主要著述目録」)で構成され、特に王家驊先生が敬慕された鹿野政直氏による「王家驊先生を追慕する」と「家永三郎の学問と歴史認識」が掲載されている。

その他、王家驊先生と直接、学術的交流が行われていた代表的な日本思想史研究者である平石直昭、辻本雅史、桂島宣弘、陶徳民の四氏による論文や文章、また台湾大学の徐慶興氏、王家驊先生の同輩学者の王守華氏、王家驊先生の教え子と孫弟子として現中国における日本研究の分野で活躍される諸氏の論文、文章も収録されている。日本の学者溝口雄三、源了円諸氏による王家驊先生の『日中儒学の比較』に対する評論が掲載されており、今後の中国における日本儒学研究に貴重な意見と参考になるものと期する。(万麗莉)

今秋にも『中日文化の対話と伝統――以儒学為中心』(仮称)を出版

南開大学梅田善美日本文化研究基金の責任者である劉岳兵教授からの報告によれば、昨年12月29日、日本研究院の会議室で開かれた基金管理委員会議において「善美基金」の活動が報告され、さらに、2015年7月のシンポジウムの論稿を基にして出版された『日本的宗教与歴史思想――以神道為中心』に引き続き、『中日文化の対話と伝統――以儒学為中心』(仮称)を編集出版することが、出席者の一致同意を得た。出版は2016年9月ごろを予定している。

また、劉教授が中心となって進めている中国語による『原典日本神道思想史』(5巻本)出版計画については、本年2月から開始される学期において、一番難しいとされる中世部分を教材として進める予定とのこと。

基金管理委員会で議長をつとめる劉教授

基金管理委員会で議長をつとめる劉教授

シンポジウム「文明の対話と比較:日中儒学を中心として」を開催

後列左より5人めが劉教授

後列左より5人めが劉教授

南開大学日本研究院(中国天津市)では、2015年7月4日に、シンポジウム「文明の対話と比較:日中儒学を中心として」を開催した。このシンポジウムは、南開大学梅田善美日本文化研究基金の責任者である劉岳兵教授を中心にして、関係者が準備に半年間をかけて開催したもの。当日は日本や台湾はじめ中国各地からの研究者およそ30名に加え、南開大学日本研究院と外国語学院日語系院生20数名が参加し、盛会だった。このシンポジウムの成果として後日、『日本的宗教与歴史思想――以神道為中心』が出版されている。

続きを読む

日本研究書・論文集の出版

日本の宗教と歴史思想

『日本的宗教与歴史思想――以神道為中心』
(『日本の宗教と歴史思想――神道を中心として』)
劉岳兵主編、天津人民出版社、2015年1月発行

本書は「南開大学梅田善美日本研究基金」の援助を受けて出版されたもので、二つの特集で構成される。一つは「神道と日本思想文化」という主特集で、もう一つは「史学史と日本思想文化」という小特集である。前者は主に2009年から神道国際学会の援助によって南開大学日本研究院に創設された「日本思想文化講座」に、創設以来五年間に招聘された講師たちの、神道に関係する講演に基づいたもので、「神道と日本思想文化総論」、「神道の歴史原典と基本概念論」、「神道思想文化史論」という三つのコラムで編成されている。中には『国史大辞典』の二項目である「天皇」(家永三郎)と「神社」(薗田稔)、そnohoka
に、論文21篇を収録する。巻頭には中国の神道研究代表者である王守華氏による特別寄稿「私の日本神道研究のあゆみ」が掲載されている。また、本論文集の前書きとしての「編集者の話」には、本書出版に至った経緯が詳しく述べられている。中国語。

続きを読む

中国・南開大学日本研究院に「梅田善美日本文化研究基金」を開設

南開南開大学調印式大学日本研究院の日本研究活動を支援するため、同院に「梅田善美日本文化研究基金」を開設。2013年6月4日には調印式と梅田節子氏による記念講演「激動の二十世紀、日中韓を結んだエスペランティスト ―勇敢なる国際主義日本人女性長谷川テルの足跡―」が行われました。【写真=南開大学調印式】