2015年11月13~17日 オーロラを見にいこう!

オーロラに惹かれて

かなり以前のことだが、飛行機に乗っていた時、キャビン・アテンダント(CA)の女性が、窓からオーロラが見えますと教えてくれた。外を見ると、北極の空に白いボンヤリした雲のかたまりのようなものが浮かんでいた。あれオーロラですか、とCAさんにきくと、さようでございますとのこと。私の心に「あんなんじゃなくって、写真で見るような色鮮やかなオーロラが見たい!」という憧れが住み着いたのは、その時のような気がする。

それから数十年、仕事のために数多くの海外旅行を経験した結果、私はすっかり飛行機での長旅が苦手になってしまった。いつまでも続く昼夜逆転の時差ボケの日々がツライ。それなのに今年、オーロラ鑑賞ツアーへの参加を決心してしまった。選んだのは「フィンランド5日間」という最短のコース。フィンランドは森と湖の国だよ、と友人はコーヒーを飲みながら言った。今年はオーロラのあたり年らしいから、いいんじゃないの、とも。

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この写真は、前出の友人がカナダで撮ったオーロラだ。ブログを読んでくださっている方に、せめてものお慰めにお見せしよう。

 ひたすら北をめざす

成田からヘルシンキ、さらにキッティラに飛んでから、やっと乗ったバスは街燈の無い雪道を、目的の村までひたすら北行する。薄暮のなかに見えるのはただ白樺の森、森、森……。

到着すると、ホテルで少し休んで、さっそくオーロラ探勝にでかけた。11月は冬の始まりなので、寒さはあまり感じない。北の空は雲が厚くかかり、この夜は空振り。このツアーはラップランドの小さな村の同じホテルに3泊してオーロラを待とうというアイデアなのだが、はたして……。OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 2日め、薄暗い。まだ夜が明けてないからかと思いきや、真昼になっても太陽は水平線の低いところにあり、上がらないのだ。でも、さすがに低くても太陽は太陽。真っ暗というわけではなく、昼間はそれなりに明るい。でも夜に写真を撮ると、そのままクリスマスカードになる。

人の姿もめったにない。犬の吠える声も聞かれず、動物といえば、ホテルの裏庭にかけられた巣箱のリスとそのエサに群れる小鳥ぐらい。時々他のリスが姿を見せると、たかい木々の梢でときならぬ追いかけっこが始まる。

オーロラは晴れていないと見えない。それなのに空はいつもどんよりと雲がかかっている。さらに雪も降る。いくら北の空を眺めても、オーロラの出現する気配はない。今日も空振り。

最後に見たものは…

3晩め。最後の晩だけに、昨晩の「なんとなく出そう~」というお化けみたいな予感から一歩進んで、今日は見えそうな気がする、と皆は意気軒昂だ。夜10時、ホテルの前で集合して、街燈の光だけを頼りに、さあ出かけよう。今日は徹夜しても見る覚悟だ。

ツアコンの男性が焚いてくれたたき火で暖を取りながら、オーロラ姫の出現を待つ。みんなで空をみていると、あれオーロラじゃない、と希望的な声と、それを打ち消す声が何度も飛び交う。そのうち、曇っていた空に星が見えてきた。雲が切れた証拠だ。すると突然、頭の上に光が! オーロラだ! みんな大興奮。私も三脚を用意していたことも忘れて、手元のデジカメで必死にねらう。

オーロラだ、待ちに待ったオーロラだ! しかしその光の波は、出現したときと同じように、音もなく消えていった

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見たわよ、見たわね、みんなで確かめあうようにうなずく。カメラは? 撮れた? うまく撮れた一人の廻りにみんなの輪ができる。わあ、きれい! この写真、私に送って!

興奮がさめると、また再びたき火の廻りに集まり、もう一度とばかり北の空を見あげ続けた。だが残念なことに、あの奇跡のような瞬間は二度とおきなかった。

翌日は帰国の日。ホテルからまたバスで空港へ。そして日本へ。この写真は、私が撮った快心の一枚だ。笑うなかれ、これでも必死で撮った私の夢のオーロラなのだから。

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