2015年11月1日(日)華やかに、でも寂しく

江戸東京博物館から会報が届き、その中に、小金井公園内の東京都指定有形文化財「旧自証院霊屋」が、東京文化財ウィーク2015の期間中だけ内部公開されているとあったので、急いで拝観に行った。

自証院は徳川の三代将軍家光の側室で、「お振の方」と呼ばれていた女性。のちに尾張徳川家に正室として嫁いだ娘・千代姫が、1652年に母の菩提をとむらうため市ヶ谷にある自証院に霊廟をたてたもの。その後、数回の修理が施されたが、明治になって解体され、再建されずにいたが、彫刻や彩色の価値により、小金井公園内の江戸東京たてもの園に移築され修理された。公開された霊屋は、中央部に須弥壇のみが置かれていただけだったが、扉と左右の蔀戸が開け放たれて、秋風が爽やかに吹きわたり、日の光がきらびやかな屋内OLYMPUS DIGITAL CAMERAを映し出していた。

お振の方については、いろいろな物語がある。ここに紹介するスペースは無いが、江戸城の大奥を華やかに彩った女性の一人である。昨年末に徳川家の菩提寺である増上寺と、今年になって同じく菩提寺の寛永寺の霊廟を拝観し、さらに数日まえには川越の喜多院で、「家光誕生の間」や「春日局お化粧の間」をたずねてきたので、ここにも徳川家にゆかりのある霊屋を見て、なにか因縁を感じてしまった。おそらくこの霊屋では御霊を供養することはあるまい。祀られていたお振の方の御霊は、今どこにいるのだろう。子ども連れの家族やアベックが、色鮮やかな霊屋をもの珍しそうにのぞいていった。

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