2015年10月4日(日) 大野城跡での大冒険

念願だった福岡県の大野城址をたずねた。大野城は、いわゆる「城」ではない。7世紀初頭、朝鮮半島からの侵攻に備えて、四王寺山の上に築かれた全長約8kmに及ぶ広大な古代の要塞で、実際には朝鮮半島からの攻撃はなく、そのまま放置されてしまった。現在は、国の特別史跡に指定されている。なかば崩れた土塁と石垣で囲まれた城内には、今も建物跡や城門、水場などを見ることができる。
福岡市内からタクシーで、四王寺山の大野城観光センターまで行き、そこから地図を片手に歩きだした。人影がないが、城歩きは一人がよい。山上の石垣や土塁、建物跡などで楽しい時間を過ごした。よい天気で、山の上から大宰府の町や玄界灘がよく見えた。
夕暮れが近づき、観光センターの人に4時には必ず山を下ってください、街燈がないから真っ暗になりますからね、と言われたのを思い出し、急いで帰りの道を探した。「九州自然歩道」という立札を見つけ、これにしたがって歩いていけは町に着くだろうと、山道を下り始めた。だが、道はしだいに狭く、しかも急になっていく。
道を間違えたのだろうか、でもいまさら引き返せない。なかば滑り落ちるように下っていった。本当に明かりは一つもなく、ヘビの姿におびえながら、暗くなるいっぽうの山道をさらに下ると、やっと小さな古寺に着いた。
そこから携帯電話でタクシー会社に連絡した。10分ほど待つと、山道を上ってくるタクシーのヘッドライトが見えた。これで私の5時間におよぶ大野城での徘徊は終わるのだ。その時の安堵感は言葉にならない。

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