2016年7月15日(金)みたま祭りに思う

靖国神社のみたま祭りは、東京の夏の風物詩ともいえる20160715_社頭で奉納されるかっぽれ。長い参道の両側に高くかかげられた三万を超える提灯(みあかし)には、夕方になると灯がともされ、さらに美しく夕闇を照らす。提灯には、奉納した人によって、それぞれに名前が書き入れられており、見上げる人々の胸をうつ。

その他に、各界の名士といわれる人たちが揮毫した数多くの懸雪洞が掲げられて、境内は光につつまれる。そして、写真のかっぽれのような各種の芸能など、多くの奉納行事がひっきりなしに行われ、都内で一番早い盆踊りも催される。

この祭りには、参道を埋め尽くす200を越える露店が出ることも知られていた。そのため昨年、露店の出店が中止になるというニュースが流れたときは、一般の参拝客は、私も含めて、驚いたものだ。だが、中止になる状況はうすうす分かる。奉納する団体や有名人の参拝が多くなるにつれ、参拝という本来の目的とは離れてイベントを見にくるだけの大勢の人々、身動きもとれないほどの境内の混雑、それに伴う治安の悪化…。ナンパ祭りとまで揶揄されていたそうな。

20160715_172024浴衣姿の若い男女や露店商の方がたにとっては、みたま祭りは、まさに「祭り」なのだろう。楽しんでほしいのはやまやまだし、それを止めようとは思わない。だが、みたまの名前を入れたみあかし(提灯)を奉納しているものにとっては、「みたま」祭りなのだ。いままでは、露店のスペースや行き交う通行人に押されおされて、奉納したみあかしを探すこともままならなかったが、今年は静かに見上げることができた。靖国神社の英断を喜ぶ。

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