2016年2月26日(金)しばしの別れ

今年3月からMOA美術館がリニューアルのため一年間、休館になると友人から聞かされた。そのためその前に「大名品展」と称して、同美術館が所蔵する名品の数々を厳選して見せてくれるという。なんというラッキー、なんという幸せ!! 2月某日、熱海にあるMOA美術館に向かった。急な坂道をバスが登りきると、その先にあるのが、あこがれの美の殿堂だ。ここには今までに何回も夫と通った。創立者・岡田茂吉が蒐集した美術品のコレクションは、3点の国宝、65点の重要文化財を含め、約3500点にのぼるという。さぞかし混雑しているだろうと覚悟していったおもわくは嬉しくもはずれ、名品の前には、チラホラと人の影が見えるだけ。 紅白梅図屏風所蔵品のなかでも、野々村仁清作「国宝 色絵藤花文茶壺」と、尾形光琳が描いた「国宝 紅白梅図屏風」(写真は美術館のパンフレットから借用)は、知らない人はいないというほどの名品だ。これでしばらくの見納めと思うと、名残惜しくて離れられない。ぐずぐずと右へ寄ったり左から見たり。

 もう一つの国宝は「手鑑 翰墨城」で、パンフレットによれば、奈良時代から南北朝・室町時代の各時代にわたる古筆切が、表側154葉、裏側157葉の合計311葉が押されているという。書の好きな人には垂涎ものだ。以前に京都国立博物館の「藻塩草」と出光美術館の「見ぬ世の友」も見たので、これで古筆三大手鑑をクリアしたことになる。目の効かない私には、ただ「見た」というだけだが。このほかにも「樵夫蒔絵硯箱」など、滅多にみられない名品ばかりで、終わるとぐったりと疲れてしまった。梅がチラホラと咲く初春の一日、美に酔いしれたひとときだった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です