2015年9月15日(火)後ろすがたに魅せられて

奈良国立博物館奈良国立博物館の開館120周年記念特別展「白鳳―花ひらく仏教美術―」が、あと一週間で終わることに今ごろ気が付き、急いで新幹線に飛び乗った。ホテルに荷物をおくとすぐに奈良博に向かう。
居並ぶ白鳳の仏さまの中でも、私がめざすのは薬師寺の月光菩薩さまだ。銅造・鍍金の高さおよそ3メートルの大きな仏さまだ。薬師寺に行けばいつでもお会いできるのだが、展示では光背が無いので、全身ぐるっと拝見できる。見上げるそのお姿の端麗さ、黒光りするお肌のなめらかさ、ちょっと腰をひねった立ち姿の色っぽさ。ウェストのくびれなど申し分ない。ねえこっち向いて、といえば、微笑みながらこちらを見てくれそうな厳しいなかにも優しげなお顔立ち、見ていて飽きないのは、ほんとのイケメンの証拠。
言うまでもなく、月光菩薩さまは、薬師寺金堂のご本尊の薬師三尊像の右脇侍である。東京国立博物館の「薬師寺国宝展」にも日光・月光の両観音さまそろってお出ましくださった。そのとき目にした後ろすがたに、私はグッときてしまったのである。写真もたしかによい、でも圧倒的なあの美しさは、実物でしか味わえない。次にこの後ろ姿を拝めるのはいつのことだろう、と思いながら手を合わせた。

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