2015年9月5日(日)名品に追われて

システィーナ礼拝堂

  大塚国際美術館をご存知だろうか。徳島県鳴門市にある陶板複製画を中心とするこの美術館は、大塚製薬グループの創業75周年事業として1998年に開設されたもので、私は先週の土曜日に、初めて訪れた。
  展示されているのは、世界じゅうの名画・名品1,000点以上で、陶製の板に原寸で焼き付けてある。だから、展示品はすべて複製品である。ネット上でも「にせものを展示しているやたら入場料が高い美術館」と有名らしい。
  だが、複製品には複製品の良さがある。陶板に焼き付けた作品は、2000年以上も色あせることはないので、至近距離からの写真撮影はもちろんタッチもできる。日本ではめったに見られない世界の名画も、ここなら居ながらにして原寸で見ることができる。そのため、各地の小中学生や美術学校の学生たちが見学に来るそうだ。
  圧巻は、入口近くのシスティーナ礼拝堂。1000平方メートルもある天井画には300人近くの人間が描かれ、すべてミケランジェロが一人で描いたそうだ。また壁画「最後の審判」は、縦14メートル超、横13メートル超という大作で、個人の描いた絵画作品としては史上最大という。
  右を見ても左を見ても、どこを曲がろうとも、ダ・ヴィンチの「モナリザ」「最後の晩餐」、モネの「水連」、ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」、ルノアール、レンブラント、ミレー、ゴーギャンなどなど、世界的に知られた名品ばかりだ。私がそこにいたのは5時間ほどだが、一生分の名画を見たような気がする。