秩父神社御鎮座二千百年の大祭に巫女装束を奉納

埼玉県秩父市に鎮座する秩父神社では、平成27(2015)年、御鎮座二千百年という佳年を機に、新しい神楽舞「柞乃舞」を東儀季一郎氏の作曲・作舞により制作することを計画されていました。かねてより、秩父神社の薗田稔宮司との親交が深かった「梅田善美日本文化研究基金」では、四人の巫女が着装する装束を寄贈し、大神様に奉呈しました。
平成26年12月3日に、「御鎮座二千百年奉祝記念大祭」と銘打って斎行された例大祭では、ご本殿前にしつらえられた舞台で新しい巫女舞が披露され、その清楚で若々しい舞姿に大勢の方々から感嘆の声があがりました。以下は菅野氏のレポートです。 ≪レポートを読む≫

薗田稔氏が宮司を務める秩父神社(埼玉県秩父市)で、昨年12月1日から6日間、平成26年「例大祭」が行われた。今回は崇神天皇十一年の御鎮座から二千百年という佳年に当たるため、「奉祝記念大祭」として斎行され、記念行事も続いた。
本殿で執行された本儀(三日)では、下賜の御幣帛を奉る栄誉に浴したほか、記念事業として新たに制作された巫女舞「柞乃舞」(東儀季一郎作曲・作舞)の奉舞も初披露された。四人の乙女が寒椿を手に本殿前の舞台に進み、雅に包まれながらも凛とした所作で舞い納め、参列者から大きな拍手を浴びた。【写真=ははその舞】
この「柞乃舞」では巫女装束も新調された。表着は、水辺に柔らかに立つ柞の木の図柄を袖や裾などにあしらった小忌衣。調製に当たっては、故・梅田善美氏の志を継いで発足した「梅田善美日本文化研究基金」(運営=国際文化工房《梅田節子代表》)からの芳志があった。
本儀の後には参集殿で直会があり、挨拶に立った薗田宮司は、同神社創建の由緒を踏まえ、「当世流の考え方だけでなく、人の心が伝えてきたものも極めて大事。その気持ちを現代に伝えていきたい」と挨拶。各界の来賓からの祝辞が続き、宗教界では臨済宗妙心派の河野(又玄窟)太通管長、三峰神社の中山高嶺宮司、立正佼成会の庭野日鑛会長、靖国神社の徳川康久宮司らが挨拶した。
2、3両日には例大祭の付け祭である「秩父夜祭」(日本三大曳山祭・重要無形民俗文化財)もあり、6台の笠鉾・屋台が深夜まで市街を曳き回され、多くの観光客を熱気で包んだ。特に3日夜には、お旅所への巡行があり、大榊・御輿・大幣を伴う神社の行列に続いて、町内側の笠鉾・屋台が威勢よく市街地を進んだ。お旅所に到着すると、最大に花火があがり、御斎場祭が厳かに執行された。
また4日には、お旅所の前の広場で、七百年ぶりという流鏑馬神事も奉納された。天地を清める鏑矢が射られ、巫女が馬上で馬場清めの扇舞を舞い、板東武者による騎馬術が披露されると、いよいよ流鏑馬となり、疾走する馬の上から射られた矢が的を射ぬくたびに、詰めかけた観衆から歓声が上がった。