台風一過

 「江戸川が大変らしい」と聞いたのは、東日本各地に甚大な被害をもたらした台風19号が去っていた10月13日だった。
我が家から江戸川までは徒歩15分の距離。さっそく行ってみると、土手や橋には、人々が三々五々立って、増水した川をみつめていた。

 平素のおだやかな姿とはうって変わって、鉄橋すれすれに濁流が渦を巻きながら流れていく。流量調査の人たちが、2本の綱の先に器機を結んで橋から流していた。

 いつも少年たちが走り回る河原の野球グランドも、大人たちの遊歩道も、すっかり水に埋もれてしまった。

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 後日再び川を見に行くと、水も静まり水位もだいぶ低くなっていた。だが、いまだにサイクリングロードをおおっているのは、茶色い水とそれが運んできたゴミ。それもほとんどがプラスチックゴミだ。それがゆっくりと川をくだっていく。いずれは太平洋に流れていき、海の厄介者になるのだろう。

 見上げると、青く澄んだ空にスカイツリー、その向こうには富士の山が浮かんでいた。