なぞのお地蔵さま

 暖かな2月のある日。里山には小川が流れ、足元にはコバルトブルーの可憐な小花が咲く。花の名前は…、気の毒なので書かない。

あれっ、あの角のあれはなんだ? もちろんよく通る道だから、何かはわかっている。お地蔵さまだ。いつもきれいに花などが供えられているのだが…。

でも、これはいつもと違う。この豪華さはなんだ。ひな祭りが近いせいか、花や果物、子どもの好きそうなお菓子やパンやクッキーなどが、びっしりと供えられているではないか!

 拝むのも忘れてボーゼンと立ちつくす私のそばに、老人が「おお、これはすごい」と言って立ち止まった。「ここで交通事故でもあったのかな」
 でもこれはとても1軒の家で用意できる量ではありませんよ、などと話していると、今度は自転車でとおりかかった近くに住むという年配のご婦人が、「これはね、水子の供養だから、食べてあげるといいんだよ」と、パンとミカンを2つ3つ、自転車のカゴにほおり投げて走り去った。なるほど、長く生きている人はよく知っているものだ、と我が身も忘れて感心する私だった。

気になる建物の正体は…

上野公園に立つ東京国立博物館の、ほんとの意味での一角に、白い四角い建物があるのにお気づきではありませんか。近づくと「旧博物館動物園」という文字が。

上野駅・日暮里駅間に以前あった京成電鉄の地下駅で、1933年12月に開業され、2004年に廃止された駅だそうです。ご料地に建てられたので、なかなか荘重な趣です。この気になる建造物が、2019年2月24日まで一般公開されているというので、行ってきました。

一般公開といってもすごい人気で、予約は早々と満員となり、金土日は一般向けに10時から整理券が配られるというので、9時前に行ったのですが、小雪が舞うなかアッという間に長蛇の列。整理券にありつけなかった人たちが諦められない様子で、係員は質問攻め。

さあ時間です。入ってみましょう。入口のレリーフは今回の公開のために、新しくつくりかえられたそうです。ドアを開くと真ん中に、大きな白いアナウサギが穴を掘っています…。なんでかなと思うかたは、京成電鉄のホームページを探してお読みください。

薄暗い階段を下りていくと、突き当りに柵があり、その向こうに昔の切符売り場が。でもそこまでは行けないので、柵のあいだから写真を撮るのみ。この駅は4両編成用にできていて、現在の長さの車両は止まれないため、閉鎖されたのだそうです。

狭い構内には昔の落書きが残されていたり、動物園駅らしく動物の骨格標本が並んでいましたが、フーン、という感じで出てきました。