目黒川のサクラ

 東京にも、上野公園や千鳥ヶ淵公園など桜の名所は数々あるが、近ごろ名を上げたのは目黒川。川の両側から川面にかぶさるように咲くおよそ800本のソメイヨシノを見ながらの散策は、若い人たちに大人気だ。
 東京でサクラの開花宣言が出されてから、しばらく雨模様の寒い日が続いたせいか、訪れた3月28日の目黒川のサクラは満開にほど遠く、川に沿ってそぞろ歩く人の姿もまばら。屋台のダンゴ屋さんもまだ暇そうだった。
 それでも膨らんだつぼみのおかげで木々はなんとなく薄紅色。
 満開を待って桜まつりが開かれ、大道芸やパフォーマンス、夜にはライトアップもあるらしいが、「花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは」と兼好法師も言うように、満開ばかりが花ではない。そこはかとなく咲き始めのサクラもなかなかよいものだ。

 

 新学期の準備に余念がない金次郎くんの足元では、ムラサキケマンの花が咲く。今週末の目黒川沿いは、人で満開だろう。