7月31日(日) 私の出口調査によると…

今日は舛添要一知事の辞職に伴う東京都知事選の投票日である。投票の結果はすぐに開票され、新しい知事の名が発表される。ニュースでは、これから何回も、花束を抱えた当選者を囲んでのバンザイが繰り返されるのだろう。見飽きた光景だ。

投票所都知事の任期途中の辞職は、前回も今回もカネをめぐる問題が原因だ。どなたかのおかげで「セコイ」という日本語が「スシ」や「ツナミ」と同様に外国人のあいだに広まったそうな。「セコイ」なんて、日本のサムライがもっとも嫌う言葉ではないか。

都選管によれば、今回の知事選は50億円ほどかかるとのこと。まったく腹立たしいことこのうえない。任期途中で辞職した知事には、理由しだいで、この金額の一部を負担させたらどうか。これほど多額の税金を使って選んだ人が、また同じような問題を繰り返さないと、だれが保証してくれるのか。

そんなことをイライラと考えながら、それでも、選挙権の行使は日本人の義務と教えられた世代の私は、投票所への道を急いだ。先日の「初の18歳選挙」と騒がれたあの参院選の投票所と同じところだ。

投票を済ませて外に出た。投票所の近くの川は、今日の青空を映しこんで、群青色におだやかに流れている。土手にのぼって投票所をしばらく見おろしていた。

わが地区もご多聞にもれず、住民の平均年齢はかなり高いのだが、今ヒマワリ、私が土手からの「上から目線」で見ると、けっこう若い人も集まってくるではないか。先日の参院選よりは、投票に来る人の数も多いような気がする。さすがに騒がれただけのことはあるようだ。読売新聞社の調べでは参院選全体の投票率は54.70%だったそうだ。今日の私の出口調査によれば、それよりもっと上かな。

川岸にはヒマワリの花が咲き乱れていた。願わくば、新しく選ばれた知事さんも、このヒマワリのように、いつも太陽にむかって高くまっすぐに顔をあげて進んでほしい。

7月23日(土)上野公園 に異変あり

20160723_after22016年7月17日、国立西洋美術館が「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-」の7か国17点の作品のひとつとして、世界文化遺産に登録されることが決定した。

関係者が躍り上がって喜ぶ瞬間は、テレビニュースで何度も見て知っていたのに、昨日、上野公園内の国立西洋美術館の前をとおったら、入館しようとする人たちの列でびっくり。

国立西洋美術館の Before

国立西洋美術館の Before

かなり以前から公園内には「国立西洋美術館を世界遺産に!」という旗が立っていて、私なぞ、なんでこの建物が?と疑問に思っていた。ところがそれが世界的に著名な設計家ル・コルビュジエ(舌を噛みそうな名の)氏の手によるもので、今回一括して世界遺産に登録された17点のひとつとのこと。ご覧のように旗も変わった。おめでとうございます。これで入館者も増えるでしょうね。私もうれしいです。でも1階の私の好きなレストラン「すいれん」が混むようになるといやだなあ。

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国立西洋美術館の After

用事を済ませて上野駅にむかっていると、現在リニューアル中の奏楽堂あたりから、今度は若い人たちが右往左往しているのに行きあった。いつもは静かな道なのに、いったいどうしたの、と思うまもなく、ああ、そうだ、これはポケモンの影響だ!と思いあたった。22日にあのポケモンGOがいよいよ日本でのサービスを開始したんだ!

アメリカはじめ諸外国での圧倒的な人気にあおられて、アプリをダウンロードした若者たち。その人たちが、モンスターをゲットしようとスマホを手にして待ち構えているのだ。その間にもしだいに若者の数が増えてくる。なんなの、これ。

日本人は、自分で考えてひとりで動くことが苦手なのか。ル・コルビュジエといいポケモンGOといい、だれか(特に外国人)がいいといえば、そちらに靡いてしまうのか。ぞろぞろと上野駅に向かって動いていく人の群れのなかで、7月31日にせまった都知事選が、付和雷同にならないように切にのぞんだ。

2016年7月15日(金)みたま祭りに思う

靖国神社のみたま祭りは、東京の夏の風物詩ともいえる20160715_社頭で奉納されるかっぽれ。長い参道の両側に高くかかげられた三万を超える提灯(みあかし)には、夕方になると灯がともされ、さらに美しく夕闇を照らす。提灯には、奉納した人によって、それぞれに名前が書き入れられており、見上げる人々の胸をうつ。

その他に、各界の名士といわれる人たちが揮毫した数多くの懸雪洞が掲げられて、境内は光につつまれる。そして、写真のかっぽれのような各種の芸能など、多くの奉納行事がひっきりなしに行われ、都内で一番早い盆踊りも催される。

この祭りには、参道を埋め尽くす200を越える露店が出ることも知られていた。そのため昨年、露店の出店が中止になるというニュースが流れたときは、一般の参拝客は、私も含めて、驚いたものだ。だが、中止になる状況はうすうす分かる。奉納する団体や有名人の参拝が多くなるにつれ、参拝という本来の目的とは離れてイベントを見にくるだけの大勢の人々、身動きもとれないほどの境内の混雑、それに伴う治安の悪化…。ナンパ祭りとまで揶揄されていたそうな。

20160715_172024浴衣姿の若い男女や露店商の方がたにとっては、みたま祭りは、まさに「祭り」なのだろう。楽しんでほしいのはやまやまだし、それを止めようとは思わない。だが、みたまの名前を入れたみあかし(提灯)を奉納しているものにとっては、「みたま」祭りなのだ。いままでは、露店のスペースや行き交う通行人に押されおされて、奉納したみあかしを探すこともままならなかったが、今年は静かに見上げることができた。靖国神社の英断を喜ぶ。