私の好きな国宝2~6. 土偶5点

国宝土偶1.縄文のビーナス(縄文時代中期、長野県茅野市出土)

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国宝土偶2.縄文の女神(縄文時代中期、山形県出土)

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前者2点が縄文中期の土偶にたいして、これからの3点は縄文後期のもの。それぞれに実に個性的だ。
この土偶は、体の中が中空として作られたもののなかでは、最大だそうだ。特徴は、上半身と下半身に刻まれた細かい模様だろう。出土が北海道であることから、入れ墨かもしれない。説明によると、足のあいだにある管のようなものは、中空である両足にも、他の部位と同じように火が回るようにしてある工夫だとある。それにしても、この面だましいは男か女か、はたまた中性か。不思議な存在だ。

 

国宝土偶4.仮面の女神(縄文時代後期、長野県茅野市出土)

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理由はよくわからないが、なかなか人気の高い土偶らしい。何を祈るのか手を合わせ、つぶやくように唇をうごかしている感じだ。面構えもよく、ドンと来いという感じだ。眉も目もしっかりと描かれている。めだつ全身模様は入れ墨か。まあよくこの複雑な形が壊れずに現代まで生き残ったものだ。ちなみに、一見、武具をつけているようで男性っぽいが、これも女性。証拠は直接見て、ご自分でお確かめください。

 

 

Illustrations by Mika

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