二条城

 京都市内に広大な敷地をもつ二条城は、1603年(慶長8年)に征夷大将軍となった徳川家康が、京都御所の守りと将軍上洛の際の宿泊所として造営した平城である。
 
 三代将軍家光が後水尾天皇の行幸のために大規模に改修し、豪華賢覧な御殿や天守を建て、1626年(寛永3年)に完成した。それからおよそ250年後の1867年(慶応3年)、前年に第十五代将軍となった慶喜は、この二条城で大政を奉還し、徳川時代は幕を閉じた。二条城は、はからずも徳川政権の曙光と終焉の場面を見守ったわけである。
 
 世界遺産であり国宝の二の丸御殿にむかう唐門は、国内外の観光客の絶好の写真スポットであり、天守台では、二の丸庭園を見ながら外国の人たちがお弁当を食べている。敵の攻撃を防ぐための防御施設として築かれた城は、今や観光のメッカとなった。

 観光客でにぎわう城内もよいが、私はそれより、二条城の周囲を歩いてめぐるのが好きだ。東南隅櫓から始めて、ぐるっと一周してもそれほどの距離ではない。静かな堀と松の緑が美しく、他を圧するほどの高さをもたない石垣は、平和な時代の城というイメージそのものである。

東南隅櫓

天守台と堀

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