風のたより

IMG_7741今から5年前の12月末から1月元旦にかけて、この地は降ったことのない記録的な大雪にみまわれた。比較的暖かいここでは、水分を多く含んだ重い雪が降る。
旅行に出かけていた私は元旦の朝に戻り、大きな道路からは車で家に入ることができず、腰まで雪に埋もれながら家にたどり着くと、なんと簡易な車庫はつぶれ私の車はぺしゃんこになってしまっていた。
数日後、国道を半島に向かって走っていると防砂のための松がなぎ倒されている。報道では6000本の松が倒れたり、折れたりしてしまったとのことであった。倒れた松は復活するかのように起き上がろうとしていた。
無残なのはミモザの木であった。毎年3月末にはたくさんの木が真っ黄色の花をたわわにつけ心をウキウキさせて活気を与えてくれていた大木が、裂けるように倒れているのである。「痛い、痛い、痛~い」と叫んでいるようで涙がとまらなかった。

松の木は植樹されて、今はまだ幼木だがそれなりに防砂林をかたどっている。ところがたおれたミモザの木は根元から伐られてしまい、そのままになっている。この時期この道を通ると私は、運よく数本残ったミモザの木に、「今年の花はどうですか?」と様子を伺うのである。さいわい今年は昨年より多くの花がつき、細い木が増えているように思える。いつかまた満開の花が道を黄色く染めてくれることだろう。
ミモザが倒れたのは東日本大震災の起きた年であって、この地方でのそんな被害など新聞の片隅にも載らないようなニュースであった。が自然の持つ力を信じそして畏れながら「きっといつかは」と復活することを期待している。
写真のミモザはまだ満開には早い時期です。もうしばらくしたらもっともっと黄色い花をつけることでしょう。      風来人よりIMG_7742

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